■ホログラフィックメモリ
- ホログラフィックメモリの仕組み・構成
ホログラフィックメモリは他の記録メディアと比べて多めの構成部品からなっている。種類によって異なることもあるが、一般的に言えば、次のような部品から構成されている。CDやDVD、ハードディスクのように機械的な回転部分がないことに注目すべきだろう(ただし、回転部分を備えたタイプのものもある)。
・レーザー
(信号光と参照光。二つは同じ光源の場合もあるし、異なる場合もある)
・スプリッター(レーザー光を分割)
・鏡(レーザーの誘導のため)
・spatial light modulator(液晶パネル)
・レンズ(レーザー光を絞る、図では省略)
・データ記録用メディア(次のページで詳しく解説)
・CCDカメラ(charge-cupled device)
個々の部品がどのような役割をするかは、ホログラフィックメモリの仕組みと一緒に見ていくことにしよう。(以下に挙げるものは、ルーセント社の研究開発したホログラフィックメモリの動作原理であるが、他の会社のものもだいたい共通している。)
データ書き込み時(図上部)
はじめに同じ光源のレーザー光がスプリッターによって、二つに分けられる。二つの光線のうち、一方は「信号光(signal beam, object beam)」といい、これはデータを運ぶのに利用される。もう一方は「参照光(reference beam)」といい、データを記憶メディアのどこに記録するかを指定するのに利用される。
では、信号光にどうやってデータを載せるのだろうか?あらかじめホログラフィックメモリで保存したいデータ(@)を0と1のデジタルデータ(A)にしておき、それをチェス板のような白黒のマトリックス表示の「データページ」(B)に変換する。このデータページは液晶パネル(Spatial
Light Modulator)に映し出される。黒い部分は光をさえぎり、白い部分は光を通す。そのため記憶メディアに当てられる信号光には、データページの情報(チェス盤のような模様)が映し出されるというわけだ。
データ記録用のメディアは、信号光と参照光が干渉した部分に記録が残される。(これは使っている材料によって、屈折率の変化だったり、透過性の変化だったり、厚さの変化だったりと異なってくる。次のページで詳しく解説。)そのため、記憶メディアに入射する参照光の角度や波長を変えてやると、データページを三次元的に記録させることができるというわけだ。
データ読み出し時(図下部)
先ほど記録したときと同じ参照光(入射角度や波長など)を用意する。これを記憶用メディアに当ててやり、屈折率の変化などによって変化した光を検出する。この検出にたいていはCCDカメラ(一般的なデジタルカメラなどに使われている)が利用されている。
このCCDカメラによって検出されたデータページ(C)は、0と1のデジタルデータ(D)に変換され、最終的にもとのデータ(E)が再現される。ホログラフィックメモリは、データページという単位で読み出しをしているので、光の照射を一回行うだけで、何千、何万ビットというデータを一度に読み出すことが可能になるのだ。従来のCD・DVDなどの光ディスクやハードディスクなどはバラバラにされたデータをセクターごとに検索しているのに対し、ホログラフィックメモリはコンテンツごとにデータページとして保存されているので、データのアクセスの速度にも有利なのだ。これが、ホログラフィックメモリのデータ読み出しの高速な理由である。
|
|