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磁気抵抗ヘッドとスピンバルブヘッド―基礎と応用
/丸善

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マリンソン磁気記録の基礎/丸善



 

  
イントロダクション
HDDの構成
読み書きの原理
ハードディスクの課題と今後&リンク集

 
ハードディスクとその将来
 − イントロダクション

 コンピュータ業界には集積回路の成長を予測するムーアの法則というものがあり、この業界を支える重要な柱となっている。その内容は18カ月で集積回路の性能がだいたい2倍になるというものである。

 一方、ハードディスクについても同じように年を追うごとに面記録密度が上昇してきたが、こちらの場合は徐々にそのペースが速くなってきている。いや最近では、「徐々に」というより、「急激に」速くなっている。90年代を通しては年率50%程度だったものが、2000年以降では年率100%以上というペースで上昇しているのだ。この背景には、97年にIBMが導入したGMR(Giant Magneto-Resistive)ヘッドによって微弱な磁気信号を高感度に検出できるようになったことや、新しい高度な信号処理技術が作用されたことなどが挙げられる。

 おかげで、私たちのパソコンで100GBのハードディスクが備わっているものも決して珍しいものではなくなった。高画質なデジタル写真や動画、インストールすると数ギガ近くになるパソコンゲームでも、100GBあればひとまず問題ないだろう。今後も、このペースでハードディスクが成長しつづける保証がある限りは…

 ところが、消費者としての私たちのはるか頭上では、ハードディスクの将来をめぐって激しい議論がかわされている。話題の中心は、いわゆる「熱揺らぎ」に関する問題だ。いずれハードディスクの成長は壁にぶつかり、今のようなペースで成長しつづけられなくなるというものだ。では、「熱揺らぎ」に関する問題とはどのようなものなのだろうか?

 そこで今回は、HDDの基礎や原理についてざっと調べた後、今後HDDにはどのような課題があるのかを見てみよう。



HDDの構成