■レーザー
- レーザーの原理3:レーザー発振
レーザーの条件3 レーザー発振
コヒーレントな光は、一応、誘導放射と反転分布によって得ることは可能だが、実際にはこれだけではレーザーとして十分な強度を持った光を得ることはできない。そこで合わせ鏡の間に光を閉じこめて光を往復させて、光を増幅させる必要がある。これを「レーザー発振」と呼んでいる。具体的な方法については、さきほど登場したルビーレーザーを例にとって見てみることにしよう。
A.はじめ高圧の電気によってキセノンランプが強力な光を放つ。これによって、ルビーの原子(青い丸)は励起された状態になる(反転分布)。
B.特定の波長を持った光に刺激されて、いくつかの原子は光子(黄色の丸)を放出する。はじめのうちは光子の進行方向はランダムなため、多くのものはルビーの結晶から外へ出ていってしまう。一部の光子は他の原子が光子を放出する引き金となり、誘導放射が起こる。
C.Bで生じた光子のうち一部は二つの合わせ鏡の間を反射しつづけ、光は増幅しつづける。
D.光が強くなったところで、合わせ鏡のうち透過性のあるほうから、光が抜け出す。この光がレーザー光となる。
これでレーザーの原理について一通りの説明が終わったわけだが、ここまでくると"laser"という言葉がよく理解できる。実はこれは"Light Amplification by Stimulated Emission
of Radiation(誘導放射による光の増幅)"の頭文字をとったものだからだ。
ルビーレーザーは固体レーザーの一つである。レーザーは固体レーザーの他にも、希ガスをつかったガスレーザー、ハロゲンと希ガスからなるエキシマ分子を使ったエキシマレーザー、それに有機系色素をつかった色素(ダイ)レーザーなどがある。他にもX線レーザーやシンクロトロンレーザーなど、とんでもない高出力なレーザーが存在している。
ただし、私たちの身近な生活に大きな影響を与えたレーザーは、やはり半導体レーザーで間違いないだろう。半導体レーザーは他のレーザーと比べて非常にコンパクトで低出力なレーザーである。次に、この半導体レーザーについて見ることにしよう。
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