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ヤリーヴ光エレクトロニクス 基礎編
/ 丸善


ヤリーヴ 光エレクトロニクス 展開編
/ 丸善



 

  
イントロダクション
レーザー誕生の歴史
レーザーの原理1:普通の光との違いは?
レーザーの原理2:反転分布
レーザーの原理3:レーザー発振
半導体レーザー
関連リンク集

 
レーザー
 - レーザーの誕生の歴史


1917 アインシュタインが誘導放射について予言

 レーザーの誕生のルーツがどこにあるかを考えたとき、「誘導放射」を提唱したアインシュタインのことを忘れるわけにはいかないだろう。アインシュタインはノーベル物理学賞を1905年に受けているが、これは有名な相対性理論についてのものでもなければ、その他の有名な理論についてのものでもなく、「光電効果」についてのものだった。

 この光電効果の考えをさらに発展させて、誘導放射というものが考えられた。誘導放射はレーザーで重要な理論の一つだろう。誘導放射とは、ある電子の再結合により放たれた光が、他の電子の再結合の引き金となり、位相のそろった波長の光を次々と発生させていくという現象だ。

 実際にアインシュタインは具体的なレーザーという装置のことについては触れていないが、理論の上でレーザーの礎を築いたといえるだろう。

 誘導放射
  「レーザーの原理1:レーザーの光と普通の光はどう違う?」を参考



1954 ベル研のTownes、Shawlowらがアンモニアメーザーを発明

 ベル研で原子や分子の性質をマイクロ波を使ってスペクトル分析していたTownes、Shawlowらはレーザーの元となるメーザー(maser;Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation)を発明した。また、マイクロ波ではなく、もっと波長の短い赤外や可視光なら、スペクトル分析でさらに多くの情報を得られると考え、58年にガスレーザーを具体的に提案した。このときに「レーザー発振」に必要な合わせ鏡の構造なども提案された。

 はじめ2人は原子や分子の分析を目的としてレーザーを考えていたが、結果としては、情報通信から医療に至るまで、多くの分野に革命をもたらすことになる。

 レーザー発振
  「レーザーの原理3:レーザー発振」を参考



1960 はじめての可視光レーザーである固体ルビーレーザーをMaimanが発明

 Townes、Shawlowらの発表以来、多くの研究者がガスレーザーの実現に向けて研究開発を行っていたが、意外にも固体ルビーを使った可視光レーザーをMaimanが発明した。

 このあとすぐに、ヘリウムネオンなどを使ったガスレーザーが開発されている。このあと、様々なレーザーの発明が続いていった。とくに、CO2レーザーのように、高出力のレーザーの発明は目覚ましいものがあった。

 固体ルビーレーザー
   「レーザーの原理2:反転分布」「レーザーの原理3:レーザー発振」などを参考



半導体レーザーの歴史について

 ガスレーザーなどの高出力レーザーの開発が進んできた一方で、エレクトロニクスの分野で活躍している小型で低消費電力な半導体レーザーはどのように誕生してきたのだろう?

 おそらく最も古い半導体レーザーは1962年に発明されたと考えられている。ただし当時のものは、「ホモ接合構造」という最も単純なもので、低輝度な上に77Kといった低温でしか機能しなかった。実際に室温で使える半導体レーザーが登場するのは1971年に「ダブルへテロ接合構造」が提案されてからだろう。今の赤外レーザーや赤色レーザーなどはこの構造が基本となっている。

 光ファイバーなど情報通信の分野とともに半導体レーザーが急速に発展を遂げるなか、1994年にベル研の研究者によって、半導体レーザーの衝撃な発見がされた。それはカスケードレーザーの発見である。今までレーザーの光の波長(つまり色)は、半導体のタイプに固有のものだと考えられていたが、カスケードレーザーのように、光の波長をそれなりに制御できることが分かったのだ。カスケードレーザーはまだ実用化にまで至っていないが、赤外領域の情報通信に大きな影響を与えると考えられている。

 一方でもっと波長の短い可視光の半導体レーザーでも大きな発見があった。それは量子井戸レーザーである。こちらも、光の波長をそれなりに制御できるということがわかったのだ。実際に、この発見が青色レーザーの開発につながっている。

 半導体レーザー、ヘテロ接合
   「半導体レーザー」
   青色レーザーはどのようにしてつくられた?



イントロダクション レーザーの原理1:普通の光との違いは?