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はじめてのナノプローブ技術
/工業調査会


走査型プローブ顕微鏡―基礎と未来予測
/丸善


ナノ・フォトニクス―近接場光で光技術のデッドロックを乗り越える
/米田出版


ナノテクノロジーの最前線 アトムテクノロジーへの挑戦〈1〉ナノテクで原子分子を見る触る操る
/日経BP社



 

  
イントロダクション
歴史
走査トンネル顕微鏡,STM
原子間力顕微鏡,AFM
近接場光学顕微鏡,NSOM
SPMによる観察・評価
SPMによる微細加工
リンク集

 
■走査プローブ顕微鏡,SPM(Scanning Probe Microscope)
 - 原子間力顕微鏡、AFM


AFMの全体の動作原理


動作原理


生じている相互間力とは、距離が離れているときはファンデルワールス力の影響で引力がはたらき、接触後は強い斥力がはたらく。(図のグラフはLennard-Jonesのポテンシャルによる。)

 プローブ先端と試料表面との間にはたらく原子間力を、カンチレバー(微少な板バネ、cantilever)の変位から測定し、探針を表面に沿って走査することで、試料表面の像を形成する。

 一般に近接する二つの物体間には必ず力が作用するために、絶縁体の表面を調べることができなかった走査トンネル顕微鏡(STM)と異なり、「原子間力顕微鏡(AFM)」には試料に対する制約は原理的には存在していない。



それぞれのパーツについて

・プローブ&カンチレバー

 試料表面の構造を高分解能に観察するためには、プローブが非常に鋭くなっている必要がある。また、プローブに働く力の変化に敏感に応答し、かつ高速で走査できるように、カンチレバーの機械的共振波数を高くする必要がある。

 一般的には、SiやSi3N4を微細加工したカンチレバーが使用されている。

・変位検出計

 カンチレバーの微少変位を検出する変位検出計には、4分割フォトダイオード(2分割の場合もある)が使われている。上図に示すように、カンチレバーの背面にレーザー光を照射して、その反射光の角度変位から、カンチレバーの変位を検出する光てこ方式を採用したものが多い。



動作モード

 AFMにはいくつかの動作モードがあり、用途によって使い分けている。大別すると以下の三つになる。

・接触方式
 プローブを試料表面に接触させ、カンチレバーの変位から表面形状を測定する方式。

・タッピング方式
 プローブを試料表面に周期的に接触させ、カンチレバーの振動振幅の変化から表面形状を測定する方式。

・非接触方式
 プローブを試料表面に接触させずに、カンチレバーの振動周波数の変化から表面形状を測定する方式。

 接触方式とタッピング方式は試料表面の原子レベルの破壊を招いてしまい、真の原子分解能を実現するのは難しい。

 一方、非接触方式はきわめて弱い引力を高感度に検出する必要がある。そのため、カンチレバーの変位を直接測定する静的な力の検出では難しく、カンチレバーの機械的共振を応用している。



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