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半導体製造装置用語辞典
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半導体のすべて 入門ビジュアルテクノロジー
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イントロダクション
薄膜生成工程
露光工程
エッチング工程
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リンク集

 
■ICチップができるまで
 − リソグラフィ工程


リソグラフィ作業は、フォトレジストの感光性のためから、長波長の黄色い照明が使用されたクリーンルームで行われている。Photo: Sandia National Laboratory
 ICチップ製造で各種の材料薄膜を形状加工するためにパターニングを施すのが、「リソグラフィ工程」と「エッチング工程」である。これらは二つでセットになっていることが多い。

 このページではリソグラフィの方を取り扱う。リソグラフィ工程は写真の現像と似たような作業が行われている。リソグラフィ工程のおもな操作順序は以下のようなものである。

  フォトレジスト塗布
     ↓
    露光
     ↓
    現像


フォトレジスト

 「フォトレジスト(photoresist)」とは感光性樹脂のことで、光が照射された部分のパターンが残るネガ型タイプと、照射された部分があとの現像処理によって除去されるポジ型タイプが存在している。

 リソグラフィ工程では、ウエハ表面にこのフォトレジストを塗布機(コータ)で薄く塗布することからはじまる。コータとは、ノズルから供給された液状のレジストを、回転支持台に固定したウエハ表面に滴下し、それを高速回転させることによって均一なレジスト薄膜を作る装置のことである。レジスト膜厚は、レジスト粘度やレジスト中の溶媒の種類、およびコータの回転速度、回転時間によって左右される。

 リソグラフィ作業は、フォトレジストの感光性のためから、長波長の黄色い照明が使用されたクリーンルームで行われている。



露光

 ウエハ上にマスクパターンを転写するために、レジストを塗布したウエハーを露光装置(ステッパー)にセットする。ステッパ−では何枚かのレンズを用いて、パターンマスクを通した光を、ウエハ上に縮小投影する。マスクに描かれているパターンは、実際にウエハに書きこむ大きさの4〜5倍程度になっている。

 一チップの露光が終わるとステージが移動して次のチップに露光する…といった具合に、ウエハ前面を走査してショット露光する。パターンマスクにスプレーを吹きかけているような感じだ。

 ステッパーの性能を、そしてICチップの性能を決める大きな要因は、光源の波長とレンズの開口数だといえる。ウエハ上に書きこむパターンの「解像度」は、波長に比例し、開口数には反比例するからだ。

 ただし高解像度になると、「焦点深度」が浅くなるという、技術的に厄介な問題が生じてくる。焦点深度が浅くなると、ウエハが焦点から少しずれただけで、パターニングが大きく変わってしまう。したがって、ウエハ表面に凹凸が生じていると、パターニングがうまくいかない。短波長光源と大開口数レンズを使用するためには、ウエハ表面の平坦化を同時に行っていかなくてはいけない。


レーザー波長・種類と設計最小寸法の関係

 ステッパ−で露光されたウエハは、PEB(Post Exposure Bake、露光後焼きしめ)と呼ばれる軽い熱処理がなされる。PEBのおもな目的は、露光時の低剤はの影響によるパターンエッジのギザギザを取り除くことと、エキシマレーザー用化学増幅型レジストの触媒反応による酸の発生を加速させることにある。


現像

 現像には現像機(developper、デベロッパー)を用いて、強アルカリ性のTMAH(Tetramethylammoniumhydroxide、テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド)現像液を、ウエハを回転しながら滴下して行う。

 この現像処理に利用されている光化学反応は、レジストがポジ型とネガ型で違ってくる。

 ・ポジ型レジスト
  光があたった部分の光化学反応によって、アルカリ溶液に溶ける化学構造に変化させる。

 ・ネガ型レジスト
  光があたっていない部分はもともとアルカリ溶液に溶ける性質をもっているので、逆に光化学反応によってアルカリ不溶になったレジストパターンを残す。



 現像が終わったところで、リソグラフィ工程は一通り終了したことになる。チェックを行ったあとに、エッチング工程へと続いていく。



薄膜生成工程 エッチング工程