この「ナノエレクトロニクス」のホームページは、現在、サイエンス・グラフィックス(株)が管理しています。すべてのお問合せはこちらにお願いします。また、このホームページは2003年までのもので、現在は内容的に古くなっている可能性がありますが、あらかじめご了承下さい。

ナノテクノロジーの入門サイト。CGを駆使して解説。書籍紹介、R&Dリンク集など。





燃料電池が世界を変える エネルギー革命最前線
/日本放送出版協会


さようならエンジン 燃料電池こんにちは―21世紀自動車革命
/東洋経済新報社


料電池革命
/日刊工業新聞


燃料電池で世界を変える-燃料電池メーカーのトップランナーバラード・パワー・ システムズのたたかい
/ 翔泳社


    最終更新日:2003/1/5
 

  
イントロダクション
駆け足でたどる燃料電池の歴史
これだけは知っておきたい基礎知識
料電池の基本構造と分類
水素貯蔵技術
応用例1; 自動車
応用例2;モバイル、分散型発電
リンク集

 
■燃料電池
駆け足でたどる燃料電池の歴史

 燃料電池の原型となった装置の発明にまで遡ると150年以上にもなり、燃料電池の歴史は意外に長い。しかし燃料電池が、新聞やテレビで騒がれるようになったのはつい最近のことだ。これには相応の理由がある。燃料電池の歴史を駆け足でたどりながら、その理由を拾い出してみよう。


1839年 ウィリアム・グルーブが燃料電池の原型を発明

 イギリス人裁判官であり、また発明家でもあったウィリアム・グルーブ(W.Grove)は、燃料電池の原型とも言える装置を発明した。その装置は、白金電極を水素、酸素を詰めた試験管にそれぞれ一本ずつ入れて1個のセルとし、そのセルを数個つないだという簡単なものだった。実際にグルーブは、この装置によって水の電気分解に必要な電力を発生させた。このグルーブの発明は、のちに「燃料電池(fuel cells)」と呼ばれるようになる。


19世紀後半 石炭・石油による内燃機関の発展、燃料電池はあまり注目されず

 グルーブが燃料電池を発明した当初は、セル内でいったい何が起こっているのかハッキリしなかったが、その後の研究によって徐々に明らかになった。しかし19世紀の間は、この燃料電池が実用目的で利用されることはなかった。

 というのも、当時の燃料電池の起電力が小さかったし、燃料となる水素をどのように保管・注入するかという問題が解決されていなかったためだ。白金という高価な金属を電極に利用していることも実用目的での使用を大きく妨げる原因であった。とくに19世紀から20世紀にかけては、石炭や石油を中心とした内燃機関が発展した時期でもあり、燃料電池のような微妙な技術があえて注目されることはなかった。


1960年代 NASAのジェミニ・アポロに燃料電池が積み込まれる

 燃料電池がはじめて活躍したのは、自動車ではなく宇宙船の動力源としてであった。NASAは宇宙船で必要となる動力源として、何を採用するかに頭を悩ませていた。原子力発電は動力源としては適任であったが、安全面で問題があった。一方、通常のバッテリーやソーラー発電では電力密度が低く、装置の小型化が難しいという問題があった。

 最終的にNASAが選択したのは燃料電池であった。燃料電池は電力密度で安定供給が可能なうえに、発生した水はクルーの飲料水やメンテナンス用として利用できたからだ。確かに燃料電池はコスト面で優れているとは言えないが、コストよりも目的が重視されるような宇宙開発の分野では、燃料電池は十分過ぎるほどの存在意義を持っていたといえるだろう。

 こうしてNASAはGeneral Motorsなどをはじめとする民間企業と契約し、集中的に燃料電池の研究開発を行った。その後、宇宙開発以外で燃料電池がすぐに普及することはなかったが、この時期の基礎研究がのちの研究開発に大きなインパクトを与えたことも事実だ。


1990年代〜 燃料電池の普及を目指して

 環境問題への配慮や化石燃料に依存した社会からの脱却の意識の高まりもあって、燃料電池が広く注目されるようになった。また地道な研究樅を結び、90年代後半には燃料電池普及に向けて、政府・企業レベルで様々なデモンストレーションが行われるようになった。

 例えば、トヨタやホンダ、ダイムラー・クライスラーなど国内外の自動車会社は、それぞれタイプや戦略が異なるが、新しい燃料電池自動車を次々と発表している。また燃料電池普及の基盤整備として、ヨーロッパをはじめ国内でも水素ガスステーションの設備が試験的に始まっている。火山と氷河の国アイスランドはその土地柄を生かして「水素社会」を国家戦略として打ちたてて、メディアの注目を集めるようになっている。



イントロダクション これだけは知っておきたい基礎知識