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量子コンピュータ



 処理速度がこれまでのコンピュータの何千倍も速いとか、決してやぶることの出来ない量子暗号通信などと、いろいろ前評判が高い量子コンピュータです。

 こういったことが可能になるのも、ニュートン力学やマクスウェルの電磁気学などの古典物理ではなくて、それと大きく異なった量子物理に基づいて処理がなされているためです。

 とくに 「量子の絡み合い」、「量子の重なり合い」といった性質をうまく扱えるようにすることが、量子コンピュータ実現に重要となってきます。ここで、その2つの性質について簡単に紹介しましょう。


量子の「絡み合い」:2つの系A,Bにある粒子のスピンがお互いに依存しあっている。

■量子の「絡み合い」(また「もつれ」,entanglement)

 例えば、2枚のコインを同時に投げたとき、一方が表だったとしよう。
 古典力学に基づいた世界では、もう一方のコインは表裏どちらが出てもよいはずである。つまり、二枚のコインの表裏は独立している。
 ところが量子の法則に基づいた世界なら、一方のコインが表だったら、もう一方のコインは必ず裏にならなければならないというように、二枚のコインの表裏の結果が依存し合っている。

 一般に電子や光子などの粒子には、スピンの向きや電子の位置などのさまざまな量子的情報が秘められているが、それぞれの粒子のもつ情報は他の粒子と独立には存在できない。これが量子の「絡み合い」(または「もつれ」)である。

 これを利用すれば、お互いはなれたところにある2つの粒子のもつ量子的情報を共有することが出来る。こうして量子情報を、離れた粒子に送ることを「量子テレポーテーション」などと呼んでいる。テレポーテーションと言っても、スタートレックのテレポーテーションのように、粒子自体を送るのでなくて、粒子のもつ情報を送るという点で異なっているので注意。


量子暗号に必要な「量子テレポーテーション」は、このパズルのようにして可能になりました。詳しくは「量子テレポーテーションと不落の量子暗号」を参考。
 また、量子暗号通信はセキュリティの高さでも優れている。というのも、外部のものが通信内容を盗み出すには、送信された暗号をどこかで盗まなくては行けない。ところが、ここで量子的情報を盗もうとすると、先ほどの量子「絡み合い」の性質から、どうしても誰かが盗んだ跡が残ってしまう。そのため、量子暗号通信は、誰かに傍受されているかどうかが分かるので、対策を講じやすい。(左図は量子テレポーテーションの仕組み)


■量子の「重なり合い」(superposition)

 これまでのコンピュータは、0か1のどちらかの状態という2進法に基づいていた。ところが、量子物理の場合は、ハイゼンベルグの不確定性原理から、0か1のどちらか状態というものではなく、0と1の間のどちらかという状態にある。これが量子の「重なり合い」である。この「重なり合い」についての古典的な例えに、半生半死の「シュレリンガーの猫」というものがある。

 そのため、従来のコンピュータは1ビットで1つしか計算が出来なかったのに対し、量子コンピュータは1量子ビット(つまり1キュービット)で、いくつもの計算を同時にすることが出来る。これが量子コンピュータの処理速度が速いと言われる理由である。
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  ・・・「気になる科学ニュース調査」からの関連記事です。
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■量子物理

量子テレポーテーションと不落の量子暗号
 量子物理固有の特徴である「量子の絡み合い(もつれ)」を利用して、絶対にやぶられることのないほどセキュリティの高い暗号をつくることができます。量子テレポーテーションの原理など。

科学コラム 量子の世界を見る
基礎研究所の外村彰(とのむら あきら)博士の講演やエッセイが収録されたページ。イメージで把握しにくい量子の世界の入り口を分かりやすく解説した講演録や、最先端のホログラフィー電子顕微鏡の解説のページなどもあります。内容はかなり充実しています。
 - HITACHI 中央研究所

New Scientist's Guide to the Quantumn World(英語)
 一般科学誌であるNewScientistが量子物理の世界を分かりやすく紹介してくれます。基本的に、この雑誌の記事やニュースのアーカイブなので、読み物感覚で学ぶことができます。しかも、良質の記事ばかりがそろっているし、その関連ニュースへのサポートもしっかりしています。しかも最新の量子物理の話が読めるんだから文句ありません。
  - New Scientist

Wave Mechanics(英語)
 Javaアプレットを使って、トンネル効果や量子の重なり合いといった分かりにくい現象を眼で見えるかたちで説明してくれるページ。走査型トンネル電子顕微鏡などの仕組みもJavaで説明してくれます。内容はいかにも大学生の学部生を対象にしたって感じです。
  - Quantum Physics Online



■量子コンピュータの仕組みなど

比喩表現を連発する量子コンピュータ
  ・・・量子コンピュータは量子の性質をうまく利用した、今のコンピュータとはまったく違った仕組みによって動いています。ところが、この量子の性質というのは、私たちの感覚では理解しにくいことがたくさん起こるのです。その量子の世界をイメージ的に直感的に解説。

ナノテクノロジー序章 小さな世界の大きな情報スペース
  ・・・ファインマンの"There's Plenty of Room at the Bottom"という有名な講演をもとにして、ナノテクノロジーのボトムアップの概念や、量子コンピュータや分子コンピュータの可能性について書いたもの。

ナノチューブの奏でる究極のコンピュータ序曲
 ・・・量子コンピュータにしろ分子コンピュータにしろ、ナノスケールでの量子的な性質をうまく利用していくことには変わりません。そんな究極のコンピュータをつくるのに必要な事が書かれています。

量子計算機は夢の機械か?
電通大の西野先生の話に基づく東工大物理学科西森研の助手田口さんによる解説です。 なぜ量子コンピュータが必要なのかとか、トンネル効果などをどう利用するかなどが書かれています。

QTM(量子コンピュータ)ニュース
主に日本の国内の量子コンピュータに関するニュースへのリンク集。国内での最新の量子コンピュータ事情を知るには便利です。

Quantumn Computer Introduction and Tutorial(英語)
 レベルに分けて量子コンピュータが分かるように説明してあります。なにやら細かくレベル和怪我してありますが、それほど気にする必要はないと思います。
  - Center for Quantumn Computation


How Quantum Computer Works(英語)
 とりあえずほとんど量子コンピュータについての前知識がないという方は、こちらの方から読み始めるとよいかもしれません。深く突っ込んだことまでは書いていませんが、これで大体イメージがわくのではないでしょうか?
 - How Stuff Works

PhysicsWeb 量子物理特集(英語)


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