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「暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで」 / 新潮社


量子論の宿題は解けるか
/ 講談社ブルーバックス

The Physics of Quantum Information: Quantum Cryptography, Quantum Teleportation, Quantum Computation
/Springer Verlag





 
       最終更新日 2002/08/29
  
イントロダクション
量子テレポーテーションに関する歴史
より安全な暗号を目指して
量子テレポーテーションの基礎
量子テレポーテーションの流れ(理論編)
量子テレポーテーションの流れ(実験編)
今後の展望&リンク集


 
■量子テレポーテーション、量子暗号
 −より安全な暗号を目指して


古典的な暗号

暗号にはさまざまな種類があるが、その基本的な構成は以下の4つの部分からなっている。

・平文…暗号化の対象となるメッセージ
・暗号文…暗号化されたメッセージ
・暗号アルゴリズム…メッセージの暗号化に使用する数学の関数。
・鍵…暗号アルゴリズムで使用する数字、単語、フレーズ。暗号の方式によって鍵が複数のものもある。

 暗号にはさまざまなタイプのものがあるが、大きく分ければ「公開鍵暗号方式」と「秘密鍵暗号方式」とがある。公開鍵暗号は暗号化する鍵(公開鍵)と復号化する鍵(秘密鍵)とが異なり、秘密鍵は送信者だけが厳重に保管しているのに対し、公開鍵は誰で手に入れることができるようになっている。公開鍵暗号は不特定多数の集まりで便利な暗号なので、インターネットなどで広く利用されている。公開鍵暗号で代表的なものにはRSAがあり、その暗号アルゴリズムは因数分解に基づいている。(詳細は「量子コンピュータ」のページで扱っている。)RSAでは、現在のスーパーコンピュータを使って手当たり次第に鍵を探しても、宇宙の歴史ほどの時間がかかり現実的でないということから、暗号の安全性を保証している。ただ、ずいぶん先のことではあるが、量子コンピュータが実現されればRSAが瞬時に破られてしまう可能性もある。

 一方、秘密鍵暗号は暗号化・復号化する鍵が共通している。一般的にこの鍵さえ盗まれなければ暗号は安全であるが、いったん鍵が盗まれると暗号はまったく役に立たなくなってしまう。したがって、送信者と受信者の間で鍵をやりとりするときに、第三者に盗聴されないようにすることが重要となる。

 従来の暗号にはやはり何かしらの弱点があり、すべてにおいて完璧な暗号というものはない。


量子暗号

 そこでより安全な暗号として考えられているのが「量子暗号」である。量子力学をその基礎においているので、古典的なものとは別の次元で暗号の安全性を保証できる。量子暗号には主に次の二つのタイプがある。

 ・秘密鍵暗号方式で利用する鍵を量子力学的原理によって安全に配布する。

 ・情報そのものを量子力学的に暗号化して盗聴を不可能にする方法である。

 このページ以降は、前者の量子暗号を中心に取り上げることにする。それでは、量子暗号について具体的な内容を見ていこう。



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