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ここまできた光記録技術―光記録産業の巨大化へ向けて
 /工業調査会

     最終更新日;2002/10/12
 

  
イントロダクション
光ディスクの基礎
CD-ROM,CD-R/RWの比較
DVDについて
次世代光ディスクについて
リンク集

 
■光ディスク
 − CD-ROM,CD-R/RWの比較


 CD-ROMの容量はフロッピーディスクの450倍近くにもなる。おかげでCD-ROMは大容量のデータを安価に配布する手段として定着した。例えばAOLなどのプロバイダーは接続ソフトとしてあちこちに配布しまわっていたし、パソコン雑誌にCD-ROMが付録として付いていても、雑誌の価格はほとんど変わらない。ただし、CD-ROMの問題は、ディスクをプレス製造する装置が高価で、数枚単位でディスクを製造する場合はコストがかかりすぎてしまうということにあった。

 そこで登場したのがCD-R(CD-Recordable)だった。データ層にアルミニウムが使用されているCD-ROMとは異なり、CD-Rには感光性の有機色素が使われている。この色素に読み込み用よりも強いレーザー光が当てられて、色素の反射率を変化させる。この変化がCD-ROMでいうピットに相当する。このとき、プリグルーブと呼ばれる基板上の誘導溝に沿ってレーザー光が照射される。

 この変化は半永久的なものなので、CD-Rに書き込みができるのは一回限りである。CD-Rにデータを書き込むことを、よく「CD-Rを焼く」という背景にはこういった理由がある。

 有機物というのは、分子構造をコントロールすることで光学的な特性などを少しずつ変化させるのが可能である。そこで、メディアメーカや化学メーカは、独自の材料でCD-Rに適合した有機色素を開発しCD-Rを商品化している。メーカーによってCD-Rの色が金色だったり青色だったりするが、これは使われている有機色素の構造が異なるためである。有機色素は、シアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の三つに大別されている。


 CD-Rの再書き込みができないという弱点を補うべく登場したのがCD-RW(CD-ReWritable)だった。CD-RWでは、CD-Rのように感光性の有機色素が使われているのではなく、結晶とアモルファスの相変化(phase transition)が可能な材料が利用されている。この材料には、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)の四元素の合金がある。

 結晶相を一気に融点にまで昇温し、不規則な原子の状態をつくり出す。これがアモルファス状態で、つぎにこの状態を急速に冷却すると、原子はばらばらな状態でフリーズされ、温度が下がってもアモルファス相が形成されている。

 一方、融点には至らない、やや中間的なレベルにまで昇温しておいて比較的ゆっくり冷えるように温度管理をしてやると、今度は原子が元の状態に組み替わることができ、結晶相が形成される。データを消去する場合には、このようにして結晶相に変化させる。

 アモルファスとは原子の配列が乱雑な状態で、結晶と比べて反射率が低くなる。この変化をピットとランドとしている。CD-RWドライブには、この二つの温度を再現できるように、出力の異なったレーザーが備えつけられている。




光ディスクの基礎 DVDについて