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Amorphous and Nanocrystalline Materials: Preparation, Properties, and Applications
/Springer Verlag


Disordered Materials
/
Springer Verlag


金属なんでも小事典―元素の誕生からアモルファス金属の特性まで
/講談社ブルーバックス



 

  
 イントロダクション
アモルファスシリコン
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 低温ポリシリコンのインパクト - システム・オン・パネル&リンク集

 
■アモルファス&ポリシリコン
 − ポリシリコンとは?


ポリシリコンの構造の模式図。この図では分かりやすくするために二次元的に示したが、実際は三次元構造をとっている。

ポリシリコンとは?

 アモルファスシリコン(a-Si)は、比較的簡単な加工で半導体素子を作成することができ、太陽電池や液晶ディスプレイ(LCD)のTFT(Thin Film Transistor)など、単結晶シリコン(c-Si)にはない新しい分野を切り開いた。

 a-Siは無定形さゆえに、加工処理の簡略化という利点が生じるのだが、同時に電子の移動度の低下という欠点も生み出す。電子の移動度は物質の結晶構造に大きく依存するが、電子の移動度が低いということは情報伝達速度が遅いことにつながる。
それゆえa-Siは、論理回路などの高速処理が要求されるトランジスタには利用できなかった。

 LCDのTFTそれぞれのスイッチングをコントロールするドライバICも、それなりの処理速度が要求される。したがってドライバICはa-Siで作ることはできない。そのためドライバICはガラス基板の外部に設置しなければならず、配線量が増えて、高精細なディスプレイの実現が難しいという問題があった。

 そこでLCDのR&D部門が中心となって考え出した解決策が、「ポリシリコン(p-Si;polysilicon)」だった。

 p-Siとはa-Siとc-Siの中間に位置するような存在で、異なる方位を有する単結晶のシリコンの粒(「単結晶粒」)からなっている。p-Siは粒と粒の境界部分(結晶粒界)で電子が散乱されてしまい、c-Siと比べれば移動度が低くなるものの、無定形なa-Siと比べればキャリア移動度ははるかに大きい。(上図を参照)


 最近になってp-Siを利用したLCDが登場し始め、そして今後は主流になっていくと思われるが、裏を返せば、今までp-Siは加工が難しく、扱うことができなかったということになる。

 次のページでは、低温ポリシリコンがどのようにしてつくられるようになったのか、またどのように電子移動度を向上させるのかを見てみよう。



アモルファスシリコン 低温ポリシリコン