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クローン、遺伝子組み換えベビーなどの失敗の共通点は?_補足


 「クローン、遺伝子組み換えベビー等の失敗の共通点は?」では、刷り込み遺伝子やメチル化のことについて書きましたが、その研究内容についてさらに詳しいことを、実際に研究している読者の方からメールでいただきました。その内容を紹介させていただきます。メールをくださった「かねちん」さんに感謝。

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 本文の方では、刷り込み遺伝子(インプリンティング遺伝子)を中心にかかれてありますが、なぜ親の性別が子供の遺伝子の発現を大きく左右するのでしょうか?そもそも、クローンは親のDNAとまったく同じで、原理も比較的単純に思えるのですが、なぜこのように成功率が低いのでしょうか?DNAには書かれていないような、何か後生的(epigenetic)な要素が関わっているのでしょうか?

 その答えとして、今注目されているのがメチル化と刷り込み遺伝子の関係です。本文中でも少し登場しましたが、ここでもう少し詳しく紹介しましょう。



(以下は、「かねちん」さんのメールから引用)

・メチル基が付く(メチル化される)のは哺乳類ではCG配列のシトシンのみです。

・そして,遺伝子(promoter)領域のシトシンがメチル化されると,通常,その遺伝子は不活性化されます。このため,例えば皮膚の細胞と脳の細胞では全く同じ遺伝子(DNA)を持っていても,発現する遺伝子が違うため,皮膚はずっと皮膚のままだし,脳細胞も突然筋肉になったりしません。(あれ?そういう人がいるかも(爆))
(←笑)

・さらに,メチル化と癌には非常に密接な関係があります。多くの癌ではメチル化の異常が報告されています。例えば,癌抑制遺伝子がメチル化されると,不活化されて,つまり抑制が抑制されて癌遺伝子が発現したりします。逆の場合もあります。癌遺伝子は通常メチル化されて不活性な状態になっていますが,メチル化が解除されると活性状態になります。

・もう一つ。これは植物で発見されたのですが,植物や動物のゲノムには沢山の反復配列が存在します。これは遙か昔のウイルス感染のなごりなどと考えられていますが,その配列は通常高度にメチル化されており,発現しないため影響は及ぼしませんが,メチル化が解除されると,それら内在性のウイルス(実際にはかなり壊れていますけど)が活性化することによって,ゲノムの至るところに飛び回ったりして(トランスポゾンと呼ばれます),その結果様々な影響を及ぼすようになる・・・つまり,メチル化=遺伝子の抑制というものが,ゲノム構造の安定に重要な役割をしているという事が示唆されました。

・それだけでなく,例えば動物の培養細胞(線維芽細胞)に強制的にメチル化を低下させる薬剤をふりかけると,線維芽細胞が筋肉や脂肪に分化することが分かっています。

・つまり,メチル化による遺伝子の抑制というのは,組織特異的な遺伝子発現にも関与している,という事です。そう考えると,メチル化というのは非常に重要な役割をしているわけで,DNAの塩基配列が全て解読されても,その発現を制御するメカニズムが解明されない限り,結局「何も分からない」事になりかねないわけで,ポストゲノム時代の非常に重要なKeywordであると考えています。


 このようにメチル化にもいろいろな例がありますが、どの例もメチル基が付いたり取れたりすることで、遺伝子の発現のスイッチのオンオフになっていることが分かるでしょう。しかも、このようなメチル化は非常に希な存在というよりは、比較的あちこちで見られることのようです(全遺伝子の数パーセント程度)。さらに、このメチル化は、個体発生や,ガンなどの疾患と密接に関わり合っていることが明らかになってきています。

 そのため、もし、このメチル基のスイッチオンオフを操作できるようになれば、遺伝子の発現を人為的に捜査することが可能になるはずです。しかも、遺伝子組み換えなどとは違い、もとのDNA配列をいじる必要がないという利点もあります。そうすれば、何もクローンに限らず、再生医学やガン治療にも大きな影響をもたらすことになるでしょう。そのような観点から、現在この分野では、とくに「脱メチル化」が注目されています。



関連サイト
さらに詳しく知りたい方はしたのサイトを参考にしてください。「脱メチル化」などの研究の最前線を知ることが出来ます。

国立遺伝学研究所の人類遺伝研究部門のホームページ

研究紹介
 やや専門的な内容ですが、研究目的など詳しく知りたい方はどうぞ。メールを送ってくださった「かねちん」さんのホームページから。



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