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ゴッホの足取りをつかめ



---ゴッホのスタイルというものは、想像力によるのではなく、あくまで自分の目で見たものをスケッチするというものです。そして、この5枚の夜の絵も例外ではなく、現実に対し非常に忠実に描かれているのです。それを科学の視点からものぞき見ることができるのです。--- 



この記事では
   夜空に隠された真実
   いくつかの時間の共存
         という内容です。
            
 


夜空に隠された真実

 
 絵に隠された真実を探ろう、なんて聞くと、まるで宝探しの中の世界みたいで非常にわくわくしますね。今回はヴァン・ゴッホの絵に隠された真実を探ってみましょう。今回取り上げる作品は"White House at Night(邦題は「夜の白い家」かな?)"です。

 この絵は1930年代に、ナチスによって奪われてしまい、1995年になってロシアで見つかりました。写真を実際に見てもらえばすぐに分かりますが、夜空に太陽かと思わせるほどの明るい星のある、白い家の絵です。

 ゴッホの作品については、ここで私がごちゃごちゃ言う必要がないかもしれませんが、非常に独特の世界観を持っていますよね。例えば、夜空の絵で有名な"StarryNight(「星夜空」)"についてですが、一見すると、月が三つも四つもあるように見えますよね。

 また、"Whtie House at Night"も、夜といいながら、昼間のように明るかったりします。逆に昼間の空が夜のように暗い絵"The Church at Auvers-sur-Oise(「オヴェールの教会」)"もあります。このような変化にはゴッホの不安定な精神状態があらわれていたと言われています。

 しかし、ゴッホのスタイルというものは、想像力によるのではなく、あくまで自分の目で見たものをスケッチするというものです。そして、この5枚の夜の絵も例外ではなく、現実に対し非常に忠実に描かれているのです。それを科学の視点からものぞき見ることができるのです。

 それは、夜空の星に現れていました。なんと、夜空の星の配置を見ることで、この"White House at Night"が描かれた時期を正確に予測することができたのです。今では、コンピューターをちょっと動かせば、ゴッホの時代どころか何千年前でも星空を知ることができます。このおかげで、この絵が描かれたのは1890年の6月の夕方頃だとわかりました。そしてこの絵の夜空に描かれている太陽のように明るい星は金星に違いないと考えられました。



いくつかの時間の共存

 さらに、白い家の絵にはゴッホの描いた事実が隠れていました。この絵をよく見てください。確かに夜空は明るいですが、白い家の壁はどうでしょう。夜にはこのように影ができたりしません。つまり、ゴッホはこのように絵を描いたのです。

 ゴッホは昼間にこの絵を描き始めました。絵を下のほうから描き始めたので、昼間のうちに白い家を描き上げました。白い家の壁の影は昼間のものなのです。そして時間がたち、太陽は沈み、明るい金星が上がってきました。これはだいたい夕方の7時ごろだと考えられています。そして、このとき夜空を仕上げた。つまり、この絵は、ある一瞬をとらえたものではなく、そのときどきのゴッホの目に映ったままに描かれており、いくつもの時間が共存している絵なのです。

 そしてさらに驚くべきことに、他の夜空の絵も非常に正確に星が描かれていたのです。また、他の夜の絵にも明るい金星が描かれているということが分かりました。



 ゴッホは確かに、目に映ったままに星を描きました。しかし、私たちにとっては明るすぎると思われるような星が、ゴッホにとって何を意味しているのかということは、科学で語る領域ではありません。私もこの辺で口をふさぎます。

 さあ、私は科学的な根拠からゴッホの絵に隠されている事実を紹介しました。しかし、その後に、どんな事実が隠されているかをどのように見つけるかは、皆さんそれぞれにまかされています。

 ゴッホの絵を久しぶりにながめてみてはどうでしょう?



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関連サイト

Web Museum, Paris - Van Gogh
    ゴッホについて絵と解説のあるサイトです。記事の中に出てきた絵はそれぞれ
  下に上げておきます。他にもたくさんあるのでそれも眺めてみてくださいね。


 "The White House at Night"「夜の白い家」
 "The Starry Night"「星夜空」    
 "The Church at Auvers-sur-Oise"「オヴェールの教会」





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