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P型・N型半導体
エネルギーバンド図で理解する
PN接合 - 半導体デバイスの基礎

 
半導体
 − PN接合 - 半導体デバイスの基礎

 半導体デバイスは実に多様だが、その多くに共通している「
PN接合」について紹介しておこう。PN接合とは、P型半導体とN型半導体の二つを非対称に接合したものだ。この原理は、これまで紹介してきた、結晶内を電子と正孔が視覚的に移動するという方法とエネルギーバンドによる方法の二つで説明できる。まずは、分かりやすい前者で説明し、その次に後者を使って説明しよう。


視覚的な説明

 キャリアの密度の異なるP型半導体とN型半導体を接触させているということは、キャリアの「拡散」が起こる。拡散とは濃度差によって移動する現象で、混ぜなくてもコーヒーに入れた角砂糖がとける現象も拡散現象の一例だ。こうして電子はn側からp側へ、正孔はp側からn側へと移動する。ところが電子と正孔が互いにぶつかると消滅してしまう(再結合)。

 接合付近での正孔と電子の拡散や再結合は、ある程度進行したところで止まる。そのため、接合をはさんでp側には負のアクセプターイオンが、n側には正のドナーイオンが残される。この領域のことを、キャリアがないということから「空乏層(depletion layer)」と呼んでいる。その過程を下図に示した。

pn接合によるキャリアの拡散の様子

 こうして接合の両側には電位差が生じる。これを「拡散電位」といい、φd[V]であらわす。また、pn接合ではn側の方がp側より電位が高くなるので、ポテンシャルエネルギーに注目すれば、p側の方がn側よりもqφd[J]だけエネルギーが高いことになる。このエネルギー差を「エネルギー障壁」という。

 pn接合に電圧をかけると、それによってこのエネルギー障壁が低くなったり高くなったりする。そのため電流が流れたり、流れなかったりと、オームの法則には従わない。


 このことに注目して、拡散の終了したpn接合に電圧をかけたとき、電流が流れる方向を「順バイアス」、逆に電流が流れない方向を「逆バイアス」と呼んでいる。順バイアスと逆バイアスのときの、半導体の中のキャリアの様子は図に示すとおりである。


この図ではアクセプターイオンやドナーイオンなどを省略している


エネルギーバンドによる説明


 図はPN接合付近のエネルギーバンドを示したものである。P型半導体とN型半導体の接合部分は遷移領域といい、エネルギーバンドが曲がっている。この部分では、電子や正孔の拡散を妨げるエネルギー障壁が生じる。このため電圧をかけていない場合は、電子の移動は起こらない(平衡状態にあり、見た目には電子の移動はない)。

 順バイアスと、逆バイアスのときのエネルギーバンドの様子を下に示しておく。順バイアスのときは障壁が小さくなるため電流が流れるが、逆バイアスでは障壁が大きくなるために電流は流れない。




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