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電子ペーパーがわかる本―紙のように薄いディスプレイ
/工業調査会



 

  
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■電子ペーパー、電子インク
 − 電子ペーパーの構造・表示原理

電子ペーパーの構造

 電子ペーパーの一般的な構造は、下図に示すようなサンドイッチ構造となっている。


 上図で示すように、マイクロカプセルやジリコンビーズの表示層と、それを制御するドライバ層が2枚のプラスチックシートで挟まれた構造となっている。


ドライバ層

 ドライバ層というのは、アクティブマトリックスの液晶ディスプレイと同じように、TFT(Thin Film Transistor)からなっており、これによって電子ペーパーの自己印字機能が可能になる。従来のTFTにはアモルファスシリコンやポリシリコンなどが使われてきたが、これを電子ペーパーのドライバ層に用いた場合、ディスプレイを折り曲げたりすることはできない。

 ところが最近では、有機分子を使ったフレキシブル・トランジスタも実用化に近づき、将来的には電子ペーパーのTFTにこの有機トランジスタが使用されるようになると考えられている。そうすることで、フレキシブルなディスプレイが可能となる。

 ただし、TFTドライバを備えつけた場合、どうしても価格が高くなってしまうために、電子ペーパー本来の手軽さが失われてしまう。そのため、ドライバ層をなくして外部装置によって書き換えを行なうタイプの簡素な電子ペーパーも考えられている。どちらが主流となるかは、需要次第ということだろう。



表示層&表示原理

 表示原理についてはさまざまな方法があるが、ここではマイクロカプセルを使った電気泳動法と、白黒塗り分けた帯電ビーズを使う方法について紹介しよう。


電子ペーパーの表示原理;ジリコンビーズ&電気泳動


 マイクロカプセルを使った電気泳動法

  電気泳動というのは、液体中に分散している帯電粒子が、外部電場に応答して液中を移動する現象のことである。「電子ペーパーのショート・ヒストリー」のページで、E Ink社がこの表示原理を採用していることを紹介した。具体的には、青色の液体と白色の帯電粒子(酸化チタン粒子)をマイクロカプセルの中にいれ、これを表示に使う。白色粒子がマイクロカプセルの表側にある場合は、ディスプレイ面は白色に見える。ここで、マイクロカプセルの裏側に配置した電極にマイナスの電圧をかけると、酸化チタン粒子は裏側に引き寄せられるので、青色の液体が表示されるようになる。これが、ディスプレイ面で「黒色」となる。


 ジリコンビーズ

  これはジリコンメディア社独自の方法で、ニ色に塗り分けた固体粒子を利用している。このジリコンビーズは色ごとに帯電が異なり、ドライバ層の電荷によって、この粒子を回転させる。こうして白色の半球が表にあらわれれば白が表示され、黒色の半球が表にあらわれれれば黒が表示されるというわけだ。

 いずれの方法でも解像度を上げるためには、マイクロカプセルもしくはシリコンビーズのサイズを小さくする必要がある。


 なお、電子ペーパーの表示原理として研究開発されているのはこれだけではなくて、例えば、キャノンは泳動粒子を水平方向移動させるイン・プレーン型や、ブリヂストンの電子粉流体(詳細は明らかにされていない)などがある。

 ペーパーライクディスプレイ − キャノン
 電子粉流体を用いた電子ペーパー − ブリヂストン




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