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電子ペーパーがわかる本―紙のように薄いディスプレイ
/工業調査会



 

  
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■電子ペーパー、電子インク
 − 電子ペーパーのショートヒストリー

 最初に電子ペーパーを提案したのがどこかは明らかではないが、新聞やネットなどのメディアでよくパイオニアとして紹介されている二つのベンチャー企業がある。

 一つ目は、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボの研究チームが97年に設立したE Ink社、そしてもう一つは、Xerox社のパロアルト研究所の研究員が2000年に設立したジリコンメディア社だ。特にE Ink社の場合は、モトローラ社(Motorola)や日本の凸版印刷などの大企業が競って出資や提携のラブコールを送り続けてきたほど、パイオニアとしての知名度は高い。

 この二つのベンチャー企業は、まったく独立して電子ペーパーの研究開発を行なってきたため、それぞれの表示原理はずいぶん異なっている。

 ジリコンメディア社は、白黒塗り分けたビーズを帯電させ、電気をかけ回転させることで白黒の表示を可能にしている。この帯電ビーズは、ギリシャ語で回転する像という意味の「ジリコン」ビーズという名前がつけられており、そのまま会社の名前となっている。

 一方、E Ink社の方は、透明なマイクロカプセルに青い液体と白い粒子を入れ、電気泳動で白色の粒子を表裏に引き寄せることで、ディスプレイの白黒を可能にしている。同社はこの原理を「電子インク」と呼んでおり、やはりこれが会社の名前となっている。

 なお、これらの表示原理のディスプレイは、ずいぶん古くから研究されていたが、LCD技術の台頭により次第に忘れ去られてしまった。それがごく最近になって、シンプルさ、視認性の高さなど、LCD技術にない利点が強調されるようになり、「電子ペーパー」というデバイスとして復活を果たした。


 しかし少し見方を変えると、「電子ペーパー」というようなメディア受けのよい呼び方がされてこなかっただけで、国内でも古くから電気泳動やその他の表示原理のディスプレイが研究されてきたことは事実だ。そこで、国内で電子ペーパー関連の研究を現時点で行なっている企業や機関をいくつか紹介しておく。


 セイコーエプソンNOK  …マイクロカプセル
 キャノン  …イン・プレーン型
 TDK  …マイクロカプセル
 ブリヂストン …電子粉流体



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