カーボンナノチューブ研究の一里塚 - 基礎から応用まで
カーボンナノチューブ(CNT)の研究はあまりにも急な展開を見せてきた。1991年にNECの飯島氏がはじめてCNT(このときのものは多層カーボンナノチューブ,MWCNT)を発見し、93年には単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が発見された。96年にはSWCNTが再現性よく大量生産できるようになったため、その後、CNTの科学的性質が急速に解明されていった。例えば、導電性、機械的強度、量子的性質、さまざまな合成方法などがそうだ。
この書籍が出版された2001年はそういった意味での基礎研究が一段落した時期でもある(もちろん水素吸蔵や超伝導な解明されていないため、とても「CNTが分かった」などとは言えないが)。それ以降2001年あたりを境目にして、CNTは電子デバイスなど少しずつ応用面での研究段階へ移っていくようになった。
この書籍には見事にそれが反映されていて、CNTの基礎的な性質については幅広い範囲から網羅的に扱っているし、応用面でも主に電子デバイスを中心に扱っている。おかげでCNTの全容がつかみやすなっている。日本語のCNTの書籍は何冊かあると思うが、とくにCNTについて具体的な内容を知りたい人には最良の入門書だと思う。
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