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自己組織化とは何か 生物の形やリズムが生まれる原理を探る
/講談社ブルーバックス


カオス的世界像―非定形の理論から複雑系の科学へ
/白揚社


自己組織化と進化の理論 宇宙を貫く複雑系の理論
/日本経済新聞社










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     最終更新日:2002/12/9
 

  
1章:イントロダクション
 ナノテクの実現手段としての自己組織化
2章:自己組織化とは?
 様々な分野での自己組織化
 熱力学と自己組織化
3章:生体分子・細胞を真似する
 自ら組み上がる生体ナノマシーン
 機能をもった人工分子膜:LB膜とSAM
4章:相手を認識する分子
 鍵と鍵穴
 超分子化学の世界へ
5章:固体表面での自己形成
 表面張力による造形
 自己形成する量子ドット
6章:散逸構造と自己組織化
 アニマル柄とチューリング・パターン
 アニマル柄と量子ドット
7章:複雑系へ
 複雑系と自己組織化(Coming Soon)
 リンク集

 
■自己組織化&自己集合
 − ナノテクノロジーの実現手段としての自己組織化

ナノテクノロジーの最大の課題 - 大量生産をどう実現するか?

 ナノテクノロジーが21世紀の重要な鍵となることは疑いようのないことだが、ナノテクをどれほど信用してよいかということになると、なかなか明快な答えは出てこない。

 ナノテクの将来像を不鮮明なものにしている最も大きな要因は、現時点でナノテクには大量生産の手段の見通しがまったく立っていないことにある。大量生産の見通しがまったく立たないなかで、分子コンピュータやナノマシーンといった応用例を考えることは少々危ういものでもある。

 そもそも、分子コンピュータは80年代頃から、優れた理論に裏づけされて登場していた。ところが当時は、それを実際に「つくる」方法がなかったに過ぎないのだ。

 「つくる」というのには、二つの次元での意味が込められていて、

 1.提案されたデバイスを実際に作り、その機能を確認する

 2.現在のスタンダードとなっているMOS FET(電界効果型トランジスタの一種)が中心のシリコンデバイスに対して、性能・コストの両面でより優れた大量生産手段を確立する

 という二つの課題がある。80年代以降、走査プローブ顕微鏡の登場などもあり、一つ目の課題についてはずいぶん解決されてきた。ところが二つ目の課題に関しては、ほとんど具体的な見通しが立っていないと言わなくてはならない。

  ナノ構造形成に関する三つのアプローチ
フォトリソグラフィー
利点:大量生産・技術的に確立している
欠点:加工寸法>50nm?・設備コストが年々膨大になっている
走査プローブ顕微鏡
利点:原子レベルで加工が可能、物性などを調べるのに最適
欠点:大量生産はほぼ不可能
自己組織化
利点:大量生産・自己修復・低コスト・低消費電力
欠点:理論的・技術的には未確立

 ただ一つだけは確かそうなことがあって、ナノテクの大量生産手段の候補は、現在の微細加工のスーパースターであるフォトリソグラフィーでもなければ、原子一つ一つを動かせるプローブ顕微鏡でもなさそうだ、ということだ。

 そして、ナノテクの大量生産の要求に答え得る(ほとんど唯一といってよい)のが、「
自己組織化」だ。

 自己組織化とは、生体内では当たり前に行われてきた。しかし、実際に大量生産の手段として利用するとなると、いまいち具体像が見えてこないのではないだろうか。そこで今回は、自己組織化(&自己集合)の具体例を中心に、どんなことが言えそうかを考えてみよう。



様々な分野での自己組織化