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ネットワークのアキレス腱

 この2つのネットワークのモデルの違いは、何かトラブルが起こったときに、明らかな違いとして現れてきます。今後、インターネット、ウェブ上で行われる経済活動の割合が大きくなることは間違いないので、ネットワークそのものがどれだけトラブルに耐性を持っているかを見極めることは重要課題となってきます。主にネットワーク上のトラブルには、サーバーなどの故障による予期しない自然のトラブルとハッカーなどによる人為的なトラブルとの二つがあります。

 これから考えることはちょっとしたパズルです。トラブルというのは、図の接点を取り外していくことだと考えます。頭をやわらかくして図を眺めていきましょう。

 まずは予期しない自然なトラブルの方を考えてみましょう。このトラブルはサーバーやルーターなどの物理的な故障が多く、起こる場所や時間はまったくのランダムのはずです。 

 このトラブルを、まずはランダムグラフに当てはめてみましょう。トラブルによって接点がいくつか潰れていくわけですが、このモデルはリンク数が一定なので、単純に、トラブルで潰れた接点の数に比例してネットワーク全体が受けるダメージは大きくなります。

 一方、スケールフリーの場合には、多くの接点にはリンクが一つ二つしかないため、いくつか接点が潰れてもリンクの集中した接点がつぶれる可能性は非常に小さいので、ネットワーク全体の受けるダメージはたいしたことありません。これは、ちょうどエアラインマップで、ある国の小さな地方空港がいくつか閉鎖しても、世界規模での航空ネットワークにはほとんど影響がないのと同じというわけです。ある研究機関の報告では、インターネット上で全体の5%の接点が同時に潰れたとしても、ネットワークはほとんど問題なく動くとされています。

 この点では、私たちのインターネットやウェブは、うまい具合に成長してきたといえるでしょう。しかし、このことは逆に弱点にもなりうるのです。

 つまり、ハッカーなどのサイバーテロは、ネットワーク上で適当にトラブルを起こしているのではありません。当然、リンクの集中した接点をつぶそうと考えてくるわけです。その際に、スケールフリーのモデルでは、わずか2,3の接点を潰せば、ネットワーク全体の機能がほとんどストップしてしまいます。

 このように、今のネットワークには、数は少ないですがアキレス腱が存在していて、これはスケールフリーモデルのネットワークに生まれつきの弱点といえます。



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